手技のかみだいら

施術日誌

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キャスティング

皆さんはキャスティングというスポーツをご存じでしたか?僕はこの方に合うまで知りませんでした。
キャスティングとは釣り竿で投げる距離を競う競技だそうで、熱心にこの競技に取り組まれている方が通院されています。

もうかれこれ10年以上のお付き合いをして頂いている方なのですが、実は腰に椎間板ヘルニアを抱えています。
施術で椎間板ヘルニアの症状を止める事は出来ても、出っ張ってしまった椎間板を引っ込める事は出来ません。いわゆる「爆弾」を抱えている状態ですね。
ご本人が「最近また怪しい」と感じたり、僕から見て「あ、ちょっと危なくなってきたな」という兆候が出たら早め早めにメンテナンスをする事で症状を未然に防ぎながら、この競技に取り組んでいます。
本業でも身体を使うお仕事をなさっているので少しの歪みが大事に至る危険があり、この方を施術する時は非常に集中力と想像力が要求されます。

さてこの方、最近では腰痛や坐骨神経痛などは落ち着いているのですがキャスティングの飛距離を伸ばす事に尽力されていて、投げる時のフォームのご相談を頂きます。
僕が全く経験のないスポーツなので、「理想のフォームと実際のフォーム」を細かく説明して頂く事で、身体のどの動きがどの瞬間に理想と乖離しているのかをイメージしていきます。
めちゃくちゃ頭を使いますが、とっても楽しい時間です。

単にバランスを取るだけでなく、時にはバランスを崩す施術も必要になります。例えば「テイクバックの時にもっと右肩を後方に開きたい」と仰った時は、左右の可動域を比較すると既に右の方が可動域が広くなっているのに、更に広げるような施術も時には必要なのです。
こういった時には新たに生まれるであろうリスクも計算に入れなければなりません。バランスが崩れたしわ寄せに何が想定されるかを考え安全にバランスを崩しに行きます。
僕の師匠はこういう施術の事を「ドーピング」と呼んでいるらしいです。「インチキな能力強化」という意味ではその通りですね。

基本的にバランスを崩すようなリクエストが来た時は、代替え案をこちらから出して「腰の回転を深くして補えないか」等と提案するのですが「それだと重心の位置が思う所に行けない」などというディベートを延々繰り返し、落としどころが無い時だけやむを得ず手を入れて行きます。

他にも能力をさらに上げるために必要な筋力やトレーニング方法の見直し、柔軟性の足りていない所なども細かく分析してアドバイスをしたりと、普段の「痛みを取る施術やアドバイス」よりも高度な想像力が要求されるので、とても勉強になります。

この春に国際大会に出場されるようなので、今もトレーニングに明け暮れていると思います。
納得できる結果が出せるといいですね。

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