手技のかみだいら

施術日誌

腰痛で立つことが出来なくなった

お悩み 腰痛

腰が痛くて立てない

60代の男性が酷い前傾姿勢で来院されました。
身体を起こそうとすると右腰に激痛が走ると言います。

「アラララ…大変ですね。」と、口では言うのですが、こんな時でも僕はつい(重心はどっち脚、足の出し方、膝の歪みの方向…)と苦しそうに歩いてくる方を気遣うよりも先に、姿や動作から少しでも情報を取ろうと冷静に見てしまいます。
悲しい職業病ですね。

あまりに辛そうなので問診も程々にしてすぐにベッドに横寝してもらいます。
お仕事が大工さんでしゃがんだまま長時間作業する事が多いらしく、最近は床を貼る作業を連日やっていて、元々痛んでいた腰が悪化して立つ事もままならなくなったそうです。

しゃがみ仕事のツケ

しゃがむ事の多い仕事は股関節に偏った力をかけ続けます。これはデスクワークや車の運転が多い方にも言える事なので、この記事を読んだ方は覚えておくと役に立つと思います。
股関節を曲げた状態が長く続くとその形のまま固まってきます。「腰が痛くて立てない」というのは、その約7割が股関節の問題です。
次の図を見て下さい。

赤矢印方向に股関節を曲げるのが座る、しゃがむという事ですね。
この姿勢で長時間作業をするとピンクの範囲の筋肉などが縮んでしまい立てなくなります。
反対側は青矢印方向にお尻の筋肉が伸びた状態になるので、お尻(緑)がユルユルになり垂れ下がってきます。
この状態が長期になってくると、ガニマタで腰を曲げたお爺さんのような格好になっていきます。

この方の場合お仕事の関係上、短期間でこの現象を作り出してしまった事で激しい痛みを作り出したと思われます。
こういった歪みは僕が最も得意とするところではありますが、初回の見た印象では最短でも2週間、施術回数にして5回前後はかかりそうです。
痛みが強いので出来るだけ遠い所から施術していって、この日は最終目標の3割程度回復出来た感じがあったところで終わりにします。
いきなり大きく環境を変える事は今回は避けた方が良いと判断したからです。
当然お仕事は休んでいただきます。

2度目の来院

痛みが酷いので2度目は2日後に来院してもらいました。
入ってくるときの歩き方が少し良くなっています。
「昨日までダメだったけど今日になって少し伸ばせるようになってきた。」との事で展開は想定通りです。
2度目の施術で最終目標の5割を超えに行きます。
特に上の図のピンクのゾーンが伸びやすい環境を作りに行きます。腰は一切触りません。
2度目の施術後、かなり真っすぐ立てるようになってきました。すると…
「先生、仕事行ってもいいですか。今ちょっと立て込んでて休んでられないんですよ。」と言います。
「出来そうだと思ったらお仕事してもいいですよ。ただし、連続してしゃがむ、或いはかがむ仕事の時は20分作業をしたら3分散歩するという事を繰り返しやっていて下さい。それをしないと逆戻りしますよ。」と少し大げさに注意を促してお帰り頂きました。

3度目の来院

更に2日後3度目の来院です。「少しずつ良くなってます。」と仰いますが、想定していたレベルまで回復していません。
ここでピンと来ました。お尻(図の緑)の筋肉にうまく力が入らないのです。
この日の施術を終わらせてから、太もも(ピンク)のストレッチと、お尻(緑)の筋トレ方法をお伝えして自宅で実践して頂きます。
「どうにかお仕事も出来てるようなので1週間この2つの体操を毎日やっていて下さい。もし途中で強い痛みが始まるようなら、すぐに電話下さいね。」と、この日は終了です。

4度目の来院

「先生、かなり良くなってきました。でも高い所に手を伸ばしたり、身体を捻じったりすると痛いんです。」と仰います。
「うん。良い感じですね。」身体を見るとお尻の張りが少し出てきました。ピンクのゾーンはかなり良い状態です。
僕の言った事をキチンと実践してくださる方だったので、とてもスムーズに回復して行きます。

5回目の来院

「いやぁーもうすっかり良くなりましたよ!ホント先生は神様だ!」と少し照れくさくなる事を言われてしまいます。
「いやぁ、僕の言ったことをキチンと守ってくれたお陰ですよ。」と最後の施術に入ります。最後の最後まで腰は触らずに終了です。どうにかイメージ通りの仕事が出来ました。

この数日後に、この方からのご紹介で職場の方が何人もいらっしゃいましたが、未だに僕の言いつけを守り続けて連続して作業をせずに、ひとしきり仕事をすると必ず3分散歩していると聞きます。

きっと、もう腰は痛めない事でしょう。素直な人は得ですね。

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