
施術日誌
お悩み | 腰痛 |
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職業ごとの特性
40代の男性が腰痛で来院しました。見るからに身体を使っているお仕事をされていそうな、いわゆるガテン系の方です。
早速どんな腰の痛みなのかをお聞きして施術していきます。
複雑な痛み方
僕はパっと見た姿と「どういう使い方でどこが痛むか」をお伺いすると経験的に「あの辺がバランスを崩しているのかな?」とイメージ出来るのですが、この方の痛みと歪み方はとても複雑で何が問題なのか見当が付きません。
こういった時は日頃どんな使い方をしているかを詳しくお聞きして、イメージが固まるまで問診していきます。
この方は庭師さんで、脚立に上りアクロバットのような体制で作業する事が多いらしいので「よくやる格好」を一つ一つ再現して頂きました。
その事で特殊な股関節の使い方や上半身の使い方が見えてきて、徐々に方針が固まって行きます。
こういった事例は職人さんにはとても多く、大工さん、内装業者さん、電気工事士さんなどなど、難しい体制で特定の作業を何度も繰り返す職業に多く見られます。
腸骨筋で堪える仕事
この方の場合、脚立につま先を引っかけて遠くの枝を切るなどの難しい体制で作業をしている事で下半身には色んな疲労が見られますが、最も疲れさせて腰痛に直結していた筋肉は「腸骨筋」でした。
画像の青い部分が腸骨筋です。
この筋肉は骨盤の前側から太ももの骨をつなぐ構造になっていて、不安定な足場で作業する際、姿勢を固定するためには要になってきます。
この方の場合、腰痛は特に左が強く、この筋肉を触ってみると左の方が固まっていました。
間違いなさそうですね。
ここをしっかりと施術すると腰痛はほぼ消えたようです。
しかし、お仕事柄またこの筋肉を酷使するのは明らかなので、ご自分で解消するセルフケアの方法をお伝えしてお帰り頂きました。
順応性のメリット、デメリット
人間の体は特定の動作や同じ姿勢を続けるほどに、その動きや姿勢に順応してくれます。
年配のベテラン職人の仕事を若い新米さんが同じようにこなしても、新米さんだけ疲れてしまうという現象も体が仕事に順応している事が理由の一つにあります。
ところが、作業姿勢として順応しきった体は日常での他の動きに関しては動作の妨げになる事があるのです。
いわゆる職業病ですね。
職人さんの場合は施術家にお仕事の特性を分析してもらい、適切なセルフケアをする事で長く安全にお仕事を続けられるコンディションを作っておく事が重要です。