施術日誌
お悩み | めまい、頭痛、猫背、手のしびれ |
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めまい、頭痛の原因
40代の男性が職場の方のご紹介でいらっしゃいました。
めまいと頭痛が主なお悩みだと仰いますが、なんだかションボリしていて元氣がありません。
何だかそれだけじゃないような気がして少し詳しくお話を伺う事にします。
ストレスによる体調不良
この方は職場でのストレスがとても強いらしく、その上にご家族の不幸が重なり疲れ果ててしまったようです。
姿勢は猫背が強く、アトピーのような肌荒れがアチコチに出ています。下を向いたままお話しする事も多く、精神的にもかなり行き詰っているように見受けられます。
特に首の後ろ側の髪の毛の生え際辺りが肌荒れが酷く「首がこって来るから自分で揉みほぐしているうちに、こうなってしまった」と仰います。
睡眠状態もあまり良くないようで夜中に目が覚めてしまう事も多く、週末は遊びに行く気力もなく家で休んでいると言います。
誰が見ても精神衛生的に危機的な状態です。
まずは一番初めに仰ったお悩みである頭痛とめまいを取って行きます。基本的に人は辛い事から順番にお話し頂く事が多いので、まずはその順に施術していきます。
この方の頭痛とめまいの原因は恐らく猫背の強さによる首の筋肉の硬さでしょう。
首を触診してみると過去に感じた事のないような記録的な硬さです。頭痛も緊張型頭痛という事もあり、この辺りがきっかけになっている事は間違いなさそうです。(緊張型頭痛は片頭痛に比べると肩や首の筋肉が原因になっている事が多いのです。)
しかし、ご自身で肌荒れを起こすほど揉みほぐしても改善しなかったという事は、姿勢の施術に比重を置いた方が良いかもしれません。
背中が丸くなるという事は胸の筋肉が固まっています。まずはここから動きを付けて、その後で肋骨や背骨の動きを付ける流れじゃないと動いてくれそうにありません。
この方の姿勢は写真のBのような状態です。背中が丸い事で胸がへこみ、胸周辺の筋肉は固くなっています。この姿勢だと首の角度がAに比べると前方へ傾いている事で顔を上げる時に首の上側、後頭部のすぐ下辺りに強い力が必要になり首が固まってしまったのです。
まずは胸の筋肉が柔らかくなる準備体操をやって頂きます。次に体操で取り切れなかった胸周辺のこわばりを施術で取って行くと姿勢が良くなって来て準備が整いました。
うつ伏せになって頂いて猫背の施術をやってから首の硬さを時間をかけて取りに行きます。
初回はシンプルにこれだけにしてお帰り頂きます。
2度目の来院
1週間後2度目の来院です。表情が前回と同じくションボリしていて元氣がありません。
「その後の頭痛とめまいはどうですか?」と尋ねると「あ、それはもう大丈夫です。でも手に力が入らなくて時々シビレも出ます…あと、しっかり眠れなくて…」と仰います。
…想定はしていましたが、やはりこの展開になってきました。根本的には転職したり思考の癖を大きく変えたりして、ストレスの根源を退治する事が必要だと思うのですが、僕はハローワークの職員でも心理カウンセラーでもないので、セラピストとして出来る事をやるしかありません。
頭痛もめまいもストレスが生み出した副産物だという事をご自身でも十分に分かっているので、一番に訴えてきた症状が1回の施術で改善しても、表情が変わる程は喜べないのでしょう。
その上「次はコッチが、今度はアッチが…」とわずかな身体の違和感を訴えてきて何かを発散するという、ストレスまみれの人に良く見られる状態になっています。
そうであっても僕はセラピストなので、苦痛を一つ一つ緩和してあげる事しかできません。
体調が良くなってどこにも違和感のない快適な肉体になった時に、この方がどんな覚悟を決め、どんな行動を取るのかは分かりませんが、問題の本質に立ち向かう気力をきっと手に入れてくれると信じて今日も愚直に施術していきます。